あなたの近くにいるのは、誰？

今日の朝、地震が来た。
すごく揺れた。
こわかった。

　
　
すぐにゆーにメールしてた。
「大丈夫？」って。


　
　
　
ゆーは無事だった。怪我もなくて。
よかった。ほんとに。
　
　
　

　
今日は
地震のせいで
朝はずっとJRは止まったまま。
駅から人が溢れてて
JRが動き出しても
人が多すぎて乗れない感じ。

　
　
これじゃ
学校に行けない。
　
　
　
　
　
　
さぼっちゃおうかな。
今日　たいした授業なんてないし。

なんでだろ。
無性にゆーに会いたくなって
メールしてた。

　
　
ゆーが「おいで」って言ってくれて
15日に会って以来
11日ぶりに会うことになった。
嬉しかった。
この嬉しさは　どう言葉にしていいかわからないくらい。
本当に　嬉しかったの。

　
　
　
JRと違ってなんとか動いてた地下鉄で
ゆーの家に向って

　
　
　
その間
ゆーに言わなきゃって
ちゃんとゆーに話さなきゃって
そう思ってた。

　
　
言える？
私に言えるの？

　
　
　
　
ゆーの家に着いたらすぐに
ゆーが抱きしめてくれて
キスもしてくれて

　
　
　
　
言えないよ…
今　目の前には優しいゆーがいるのに
なんで　わざわざ
ゆーにとって煩わしいであろう話なんかして
ゆーを遠ざける必要があるの…？

　
　
　
　
　
　
「話ってなに？」
抱きしめてくれた耳元でゆーが囁いた。
どうしよう。
言わなきゃ。
ちゃんと伝えなきゃ。
「泣かないでね？」
ゆーが言う。
泣いちゃいそうになるのをこらえた。

　
「やっぱり　そんな話もうどうでもよくなっちゃった」

　
　
　
ダメだった。
言えなかった。
その腕を離さないで。
私から　振りほどけない。

何も知らないふりをしたら
もしかしたら　ゆーは…。。。

　
　
　
　
ゆーが手を引いて
私を部屋に連れて行った。

たくさんのキスをして
抱き合って
身体を重ねて。
ゆーが「好き」と言ってくれた。

　
　
　
幸せだと思った。

ゆーを信じてその腕に飛び込もうよ…

　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
でもその幸せは　一瞬の儚さの中
長く続かなくて

　
　
私が寂しさに負けそうになってた
この約1週間のゆーの生活のことを
ゆーが話し始めた。

　
　
　
ゆーは
私を放置する間
部活もさぼって
友達と遊んでた。

女の子の名前も
数人。

　
すごく楽しそうに話す。

　
　
　
　
ゆーは平気なの？

　
　

そう
ゆーは全然平気だったんだ…。

　
　
また心が曇ってゆく。

私は寂しさに苦しんでいた。
何かとても大きなものと闘ってるような気持ち。
しかも　負けそうだった。そう思った。
寂しい。とにかく寂しい。

だけどその間ゆーは
友達と遊んでて。
私の知らない女の子とも。
話し方から　たぶんすごく楽しかったんだろうね。

それを本当に楽しそうに私に話してくれるゆー。
今の心の状態じゃ　一緒に楽しんであげられない私。

　
　
　
　
　
悲しい。
　
　
　


　
　
　
　
ゆーは
私に誕生日プレゼントあげたいって言いながら
お金は全部　友達との遊びに消えて
誕生部からはもう1ヶ月以上。

ゆーは
私には何でも部活のせいにして
とても忙しそうにして
だけど友達と遊ぶのなら
平気でさぼるんだね。

彼女の私よりも
他の女の子との方が会う回数が多いって
ゆーは　どう思ってるの…？
　

小さいことまで挙げればきりがない。

ゆーのとって
友達に対してできることも
私に対してはできないんだね。

　
　
友達のためにさぼれる部活
「部活なんか出たくない」なんて言うくせに
今日は私のためにはさぼってくれないんだね。
もちろん私が「さぼってほしい」なんて思うこと自体が間違ってる。
だから私もはっきりと言わないけれど。

　
　
日曜日の予定も
当り前のように
その中に私はいない。
　
　
　
ゆーのいちばん近くにいるのは私じゃないよ。。。

　
　
　
「会えなくてごめんね」
違う、ゆーは最初から会う気がないんだよ。
「かまってあげられなくてごめんね」
そう、ゆーは私なんかかまう気がないんだよ。。。
　
　
　
　
　
　
やっぱり言えばよかったんだ。後悔した。
泣いてでも　伝えるべきだった。

　
　
2時半頃
やっと動き出したJRに乗って着いた学校から
伝えたかったこと
メールで送った。
本当はちゃんと言いたかったのに。
こんな時
メールなんか
ただの無機質な文字の羅列に見えてしまう。

そこに私の気持ちは見える？

　
　
　
　
私のゆーに言ってることは
言わない方がいいことだって
わかってた。
言わないで済むなら
それに越したことはない。
　
　
　

でももう限界も近い。
このままじゃダメになる。
心が　決壊寸前。

馳せる想いは　あなたには届かない。

　
　
　
　　
　
　
ゆーが大好きなのに。